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「常陸大津の御船祭」臨時開催
「先人の努力が実った」 国選択重要無形民俗文化財の指定を記念し、5月2、3日に開催

北茨城市の祭事「常陸大津の御船祭(おふねまつり)」が、5月2、3日に執り行われる。大漁と海上安全を祈願する同祭は、陸上で長さ14m、幅3.6mの船を人力だけで渡御する勇壮なものだ。本来は5年に1度の催行で、今年は前回から3年目だが、この3月に国選択重要無形民俗文化財に指定されたことを受け、記念に開催されることとなった。大津町は長年待ち望んだ文化財決定に沸き、祭事関係者らは臨時開催に向けての準備に大わらわだ。

お囃子は笛と小太鼓、大太鼓、鉦(かね)からなる。小学生以下が小太鼓、中学生が大太鼓を担当し、高校生以上は笛で囃子をリードする

「常陸大津の御船祭」は、2日が宵祭り、3日が本祭りとなる。美しく化粧を施した船は、コロの代わりとなるソロバンと呼ばれる木桁の上に載せられ、町内の佐波波地祇(さわわちぎ)神社の神輿(みこし)と宮司が乗り込むことで神船となる。船上では、総勢50人にも及ぶ囃子(はやし)方、水主(歌子)などがお囃子と御船歌で祭りを盛り上げる。船の両脇を囲む男衆は、船の縁をつかみ、左右に大きく揺さぶりながら引いて行く。船底とソロバンが擦れ合って煙を上げてもお構いなしで、大きな船が一気に進んでいく様は豪快そのものだ。

祭りに欠かせないのが、地元の子供たちが担当するお囃子だ。臨時開催決定の知らせに、早速子供たちは師匠の下、市漁業歴史資料館よう・そろー伝習室で週3回の稽古を重ねている。お囃子は、町内の3地区で微妙に曲調が異なるため、師匠の笛の音を聴き分けて太鼓をたたかなければならず、ばちを握る子供たちのまな差しは真剣だ。

小さな体で懸命に太鼓をたたく6歳の小林綸琥(りんく)君は最年少だが、幼い頃から遊びで太鼓をたたいていたので、ばちさばきも慣れたもの。「掛け声を大きな声で」との指導に、お兄ちゃんたちに負けじと大きな声を出す。「太鼓は面白いのでお祭りが楽しみ」と、うれしそうに大きな音を響かせていた。

記念開催のために船の修理や船体に絵を描いたりなど準備もほぼ整えられた(写真提供・小峰好雄さん)

しかし、御船祭は、不漁や後継者不足など時代の移り変わりの中で消滅しそうになったこともあった。その時々の祭事関係者らは、伝統を守りつつ少しずつ時代の変化に合わせながら、様々な困難を乗り越えて今につなげてきた。今回の文化財指定は、先人たちの努力が実を結んだ結果と、関係者らの喜びは大きい。

お囃子の師匠の1人、鈴木勝博さん(68)は「私は祖父から引き継いで3代目。国の重要文化財指定はみんなの長年の願いだったので感慨深いですね」と話す。

御船祭は、同市大津町の佐波波地祇神社及び周辺、大津漁港の周辺道路を会場に執り行われる。5月2日の宵祭りは同神社で午後1〜9時。御船渡御は大津港から諏訪神社下で午後1〜5時。3日の本祭りは佐波波地祇神社や周辺で午前7時〜午後9時。御神船渡御は諏訪神社下を午後0時30分に出発し、大津港に6時頃到着する。問い合わせはTEL.0293(46)3020 常陸大津の御船祭保存会へ。
フリーライター・内藤洋子